Un puro godiamento della vita -人生の純粋な快楽-



「そう、いい子だ。そのまま力を抜いて」
「…んっ…くっ……」
 うつぶせになった山本は声を咬む為に唇を噛みしめていた。女性相手でもせいぜい入り口をなぞって羞恥を煽るだけだった場所に指を入れられて善がらされていた。それも男相手にだ。
 ――酒に呑まれるのがよくねぇってことがよくわかった。
 冗談みたいなことを考えて、体の熱を散らす。
「噛みしめんなって」
 背中を嘗め上げたγは背ける山本のかさつく唇をなぞり、舌をさしこんでくる。唾液を注がれてもうまく飲み込めず、口の端から零れてゆく。それをちゅるりと吸い取られ、唇を舐められる。柔らかに触れる湿った唇に求められる気持ちを感じて山本も吸い付くように舌を絡めた。
「……んんっ…」
 くぐもった声を上げる。それは抗議の声ではなく、甘える響きを帯びていた。唇を犯されながら後孔にするりと指を差し入れられたが、痛みではなく確かな愉悦をもたらした。
「あっ……ん、…」
「ため込んだって結果は一緒だぜ」
「タチわるっ…」
「おまえほどじゃない」
 γは身を起こして、ゆっくりとアナルに突き立てた指を出し入れした。ざわざわとしてむずがゆい緩やかな快感に山本を身悶えた。それに構わず2本目を差し入れ、揃えた指をゆっくりと前立腺へと向けて滑らせた。
「息、吐いとけよ」
 頭が理解する前に、未知の快感の種を撫でられて山本は声を漏らした。快感に痺れる頭でそこが前立腺と理解する。身体の内部に、それも日頃触られるはずもないそこに、こんな強烈な部分が眠っていたなんて。ペニスを擦られる比じゃない。
「あっ、す、げ…あっ…は、んっ」
 そこを撫でられる快感に酔っていたらぐるりと指が回された。いつのまにか本数が増やされていて、感じていた以上の太さに拡げられていた。
「すげぇ眺めだな」
「る、せ……」
 うつぶせの山本は柔らかい枕に頬を押しつけてγの指に引き上げられたように腰が高く上がっていた。γの指に脅かされながらも実際はぎちぎちに勃ち上がったペニスをシーツで擦るのに耐えられなくなってもいた。強がりを言いながら自分を見返す山本の顔は既に快感に蕩けて赤く上気していた。
「そんな顔…ねだられて悪くないな」
 フと口の端を上げたγは一度指を抜き、自身にぬめる液体をまとわりつかせて数回扱いた。山本の背中に多いかぶさって頬にキスをしながらほどけたそこに固い切っ先を当ててゆっくりと潜り込ませる。同時にシーツと腰の間でひそかに主張する山本の性器も扱いた。ねばつくγの掌はあたたかくぬめって、女性器を連想させた。
「あ、あっ、あっ…」
「いい子だ」
 γの声が山本の身体に染み渡る。前と後ろから同時に刺激されて、特に初めての後ろの刺激は予想を超えていて山本は思考を真っ白に染めていた。熱い太いものがずぶずぶと身体を暴いていく。前立腺の上をいつまでも擦られる感触に脳みそをかき混ぜられているようで、痛みよりも果てのない怖さを感じた。普段死と隣り合わせのくせに感じたことのない未知の恐怖。このまま体内を犯されたら叫び声を上げるかもしれないと甘い絶望を感じていたら、尻にγの腰骨を感じたところで止まった。途端に山本は弛緩してシーツに身体を預ける。
「はっはっはっ…」
 短い息を繰り返す肩やつむじにγはキスをしていく。
「痛くねぇか?」
大丈夫、という言葉にならずかろうじて首を横に振る。そうか、と奥までくわえ込まされた怒張が今度はゆっくりと抜かれ始めた。
「はっ…うっ…んんっ…」
 完全に出ていく、といったところで押し込められる。γの先端は更に太さを増したようで、孔を拡げられて擦られて山本はまるで粗相をしたような心許ない感じと何かが抜け出るような感触で挿入された男根を自然絞り込んだ。 「どこがイイ?」
 意識を腰から耳へと持って行かれて、目眩がした。肌触りのいい低い声は、山本の官能を擽ってそして身体中を震わせる。
「その声…っいっ…」
 かろうじて振り絞る山本の返事に気をよくしたγは腰の動きを早めた。
「…はっ…ああぁ、い、イイっ…」
 肘で身体を支えてγへと腰を押しつける山本。その腰を両手で掴むとγは舌舐めずりして自分の快楽を優先し始めた。ワンナイトスタンドや複数プレイなどインモラルなプレイが経験が豊富にある山本にとっても内部から暴かれる快楽に抗う術は無く、出ては入っていく男根に入り口を擦る度にそれを自然に絞り上げていった。ペニスを擦られて湧きあがる劣情とは違う種類の堕落した快感に溺れて息ができない。
「…もう、もうっ…」
「まだだぜ」
 解放をねだる山本にγは完全に一度身を抜いた。あおむけにされた山本は、飢えた目をした男に足を掲げられて再度挿入された。
「ひっああああっ……イイっ…あ、ああっ」
 ズンと頭の先まで痺れるような太さに目が眩む。キスと挿入だけの最低限のセックスに心がうずく。気持ちの入らない快楽。このまま身を任せて弾けさせたい。γに腰をおしつけるために、両腕を上げて逆にシーツを掴んだ。全てをさらけ出す山本にγも見せつけるように唇を舌で舐め上げ、先走りを零していた性器を包んだ。
「天国に行こうぜ、banbino」
「あああっ……あっあ、イっく……」
 前と後ろを同時に攻められて山本はあっけなく逐情した。もう何時間も射精を止められていた身体だった。余韻で跳ねる山本の身体を堪能したγはゆっくりとその奥に熱い白濁を零した。感じたことのない場所に熱い迸りを受けて、山本はもう一度身体を跳ねさせた。